編集部

■マンションを生まれ変わらせることでエリアも生まれ変わる

和泉 今の日本では、管理体制が悪いために資産価値がゼロどころか地域にとって邪魔なものになってしまっているようなマンションも、普通に販売されています。
部屋というものは、マンションそのものやエリアとリンクすることで、初めて資産として捉えられるものだと思うので、これからは、そうしたマンションを部屋だけではなく建物全体でデザインすることによって、リノベーションの価値をより高めていきたいと考えています。
堀 マンションを生まれ変わらせることによってエリア自体も生まれ変わらせることができたら、それは素晴らしいですよね。
和泉 リノベーション業界で10年やってきましたが、その中で街が変わっていくということもありました。駅が新しくできたり、開発事業で駅の周りがきれいになったりするわけですが、そのことと住まいのあり方って、決して関係がないわけではない。
例えば、街の開発事業と合わせてマンションを手直ししてみるというのも、ひとつのリノベーションと言えるのではないかと僕は思うんです。 タウン開発で街が変わると、そこに集まる人たちが変わります。今までは単身者が多かった街に公園ができたり、それによってファミリー層がたくさん来るようになったり、来るだけではなく住むようになったり。
そんな時、リノベーションによって提供する住まいの間取りも変えていくことができれば、私たちが手掛けるものの意味はすごく大きなものになると思います。
堀 そこに住みたいと思う方々の層が変われば、住むスタイルも当然変わりますから、住まいも変えてあげられるのがベスト。それができるのがリノベーションですからね。
そこに住みたいと思った時に理想の部屋がなくても、「こんな部屋を作ってください」というオーダーができる。リノベーションによっていいサイクルが生まれますよね。
■介護環境やシェアハウスのデザインで人と街をつなげる

和泉 介護についても同じようなことが言えると思います。介護と街づくりが重なっていくようなスタイルが望ましい。介護においては、面倒をみる人たちとケアされる人たちの暮らしがどうしても別々になってしまって、仕事していたりすると、さらに顔を合わせる時間が少なくなってしまう。そこがひとつになる街づくりが大事だなと。
そして、年配の方が年配の方と話すのではなくて、子供さんと話したり、若者と話すことができる環境を作ることが必要じゃないかと思います。
堀 シェアハウスとかもおもしろいかな。シェアハウスというと、今はどちらかというと若者がコスト削減のために住む場所のようなイメージが強いですけど、そうではなくて、年齢に関わらず、同じ嗜好だったりライフスタイルのリズムが一緒だったりする方々が集まって、楽しみをシェアするためのハウスを街に作るとか。
和泉 なるほど。とっても素敵ですね。マンションだと隣の人の顔を知らないケースも増えていて、子供を叱れる近所のおばちゃんがいなくなってしまうような感じでちょっと寂しく感じるところもあります。
そういう人も地域には必要なのかなと思いますし、そういうことも考えて人とデザインと住まいをつなげていければ、素敵な街の形が作れる気がしますね。
■より細分化されるライフスタイルにお応えするために
和泉 今後ワッフルとして一緒に取り組みをさせていただく中で、堀さんには、これまで住宅に携わっていないデザイナーさんをもっと巻き込んで、一緒にデザインしていただくような流れを作っていただきたいと思っています。
堀 いろんな角度から物を見ることができておもしろいかもしれないですね。今後、住むスタイルはもっともっと細分化されていくと思いますので、その中で、いろいろなスタイルの住空間をワッフルさんらしくデザインできたらと思いますし、それをコミュニティーづくり、タウンづくりにまで広げていくことができたら、おもしろいですよね。
和泉 これからは外国の方が住まいを求めることも多くなると思うので、そうした方々の気持ちがわかるデザイナーさんが作ってくれたものを提供できる形も目指したいですし、タウン開発、土地開発も手掛けたい。
街づくりとデザインと人。これを重ね合わせたリノベーションを私たちは作りたいし、堀さんとなら、それが可能なのではないかなと思っています。
堀 楽しみですね。点が線になり、線が輪になって、その輪がどんどん広がっていくようで。すごく可能性を秘めていらっしゃると思うので、ぜひご一緒したいです。
和泉 今後とも、ワッフルともども、よろしくお願いします。
堀 こちらこそよろしくお願いします。ありがとうございました。

